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本当にフリーターのままで良いのか 2011.5.01


フリーターの数は2004〜08年は景気回復に伴って、以前より減少傾向であると言われるものの、厚生労働省では178万人(2009年)、内閣府では417万人(2001年)としており、約2倍の違いがあり、その実体が正確にはつかめていません。
しかし数百万人の人がアルバイトを中心とした生活をしている事は事実であります。気楽さからあえてフリーターの道を選択した人も大勢いますが、就職したくてもできない人もいます。

私が学生の頃は”プータロー”などと後ろ指を差された存在も、フリーターと呼ばれるようになってからは、時代の先端?のような錯角さえ起こるものです。

しかし、ある時点で正社員になろうとしても実態は大変厳しいものであると言わざるを得ません。
厚生労働省が発表した2004年度の「雇用管理調査」では、フリーター経験をプラス評価する企業は3.6%に過ぎず、逆にマイナス評価する企業は30.3%である事が分かっています。
求人側で人事や面接を行う担当者はバブル世代が中心です(40代の部課長クラス)。彼らは、フリーターといえば“バブル期のフリーター”をイメージしており、フリーターに対する偏見が強く、フリーター経験のある者を「好きでなった」「長続きしない」「問題を起こす」とされ、マイナス評価する傾向にあると思っています(そういう時代だったので仕方ありません)。
こうした事から正社員になろうとすると、慢性的に人手が足りない肉体労働系の職業に限定されがちです。

また将来の人生設計・・特に収入面では正社員とフリーターでは想像以上の格差があります。

収入グラフ(正社員VSフリーター)
私の勝手な計算ですが、試算した結果をグラフにしてみました(縦軸:収入・万円、横軸:年令)。
正社員は大卒で生涯賃金は約30,000万円(3億円)です。入社〜数年の年収を500万円とし毎年のベースアップや一定の年令で役職に就くことを考慮しています(58才役職定年、60才で定年退職)。
また退職金が約2,700万円、65才以上から受給される年金が月に約20万円として算出しました。
※無収入期間の60才〜64才までは毎月10万円程度のアルバイトをすると仮定しています。

フリーターはどうかと言うと、毎月一定の金額を得るとしています。具体的には15万円(年収180万円程度)。
基本的に収入増は見込めませんので、ほぼ毎年同額を正社員と同様に60才まで積み上げています(50才過ぎからは月10万円程度として試算)。退職金はありません。また受給できる退職金は国民年金のみとし毎月5万円としてあります。

 新卒で正社員の人の生涯収入 : 3億6,000万円
    生涯フリーターの生涯収入   :     7,200万円


年金や退職金を考慮すると、なんとその差は3億円近くにもなります。
グラフは入社10年(32才)、20年(42才)、30年(52才)の途中経過を入れてありますが、正社員の場合、結婚や家の購入、子供の学費増の時期に合わせるように収入が増えています。子供が2人いて、住宅ローンを支払うためにはキャッシュが毎月40万円程度は必要になります・・・しかしフリーターの場合は、そうはなっていません。
生涯独身という考えもありますが・・・健康保険の支払いをしていない人もいるそうなので、風邪をひいただけで1万円の医療費がかかり・・歯医者になんてとても行けませんね。
また、年金も払い込んでいる人はまだしも・・・65才でも健康なら働いていられますが・・どうなるかは誰にも判りませんから。

この400万人とも言われる人たちが、数十年後に大きな問題となるような気がしてなりません。


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